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靴は足そのままではない |
なぜ靴に表示してあるサイズと、その大きさの足とが合わないといったことが頻繁に起こるのか。
まず、靴の方の事情から見ていくことにしましょう。
既製靴は不特定多数の人を対象に、ある一定の規格に基づいて量産されます。
この一定の規格というのは、メーカーそれぞれの考え方によって寸法的あるいは形 状的に独自の調整がされるということで、靴は決して足そのままの寸法や形でつくられているわけではありません。
その調整の代表的なものが「捨て寸」と「こ ろし」です。
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「捨て寸」と「ころし」
「捨て寸」というのは、趾の前方に設けられる余裕分のことです。足の大きさは宙にあるときがいちばん小さく、両足で立つとそれよりも大きくなり、片足に全体
重をかけたとき最大になります。
また、歩くと足は靴の中で前後に動くため、足袋のように爪先まで趾が入っていたのでは歩くことができませんので、必ず10
ミリから20ミリほどの余裕分がとられているのです。
「ころし」とは物騒な用語ですが、主に靴のボール部あたりを足の寸法より小さくつくることをいいます。
とくにパンプスなどの浅物はこの部分を足よりかなり 小さくしないと、歩くたびに足はどんどん靴の先端部の狭いところに滑り込んで、趾が靴の先端に当たりますし、紐も何にもないですから脱げてしまいます。
要 するに「ころし」とは、足を蹄め付けて、足が前にいかず脱げないように靴型に調整を施すことです。
こうして<でき上がった靴>には靴そのものの寸法ではなく、その靴が合うであろう足のサイズ(足長と足囲)が表示されます。なぜ<でき上がった靴>と強調
したかといいますと、日本の靴サイズ方式は、<その靴が合う足の大きさ>を表示しなければならないのですから、でき上がった靴(モデル)を、まず中心サイ
ズに近い足を持ったモニターに試し履きさせてからでないとサイズは表示できないわけです。ということはそのモニターと同じ寸法の人でも形が違えばその靴は
合わないことになります。
これに対し外国の靴サイズのほとんどは、でき上がった靴に合う足のサイズを表示するのではなく、靴の元型である<靴型>の大きさをそのまま表示します。し
たがって、靴として仕上がらない前に、すでにサイズは決まっているのです。この方式を「靴型(ラスト)サイズ」といいます。
以上の説明で、靴のサイズというものは表示法の統一はできても、靴に表示されたサイズと同じ寸法の足なら、どこのメーカーのものであろうと、どんなデザインの靴であろうと、一律に必ず合うといった意味でのサイズの統一は不可能で、各メーカーによってバラバラなのは当然であるということが、おわかりいただけたと思います。
それどころか、まったく同じ靴型を使って靴を作っても、デザインや材料、製法などが違うとサイズも違ってきます。
これが靴という製品に 付けられるサイズの特殊性であり、本質でもあるのです。
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